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トランスフォーメーション思考 ―未来に没入して個人と組織を変革する。

執筆者の写真: Hajime HottaHajime Hotta

『トランスフォーメーション思考』を書いた“真意”を、情熱を込めて語ってみたいと思います。


なぜこの本を書いたのか?


一言でいえば、「10年以上先の未来を、本気で“今ここ”に引き寄せるため」です。僕は長年、AIやロボティクスの世界に身を置いてきました。大学院でニューラルネットワークを研究し、起業家としてスタートアップの立ち上げも経験しました。その過程で感じたのは、「技術はものすごい速さで進化しているのに、人や組織が追いついていない」というジレンマです。


たとえばAIの高度化がすぐそこまで来ていても、大半の企業は“現状の延長線”や“改善”の発想で止まってしまっている。結果、せっかくのイノベーションが埋もれてしまう――そんな歯がゆさを何度も目にしました。一方で、シリコンバレーの起業家たちは「まだ誰も手がけていない大胆な未来」をリアルに思い描き、そこに自分たちが当たり前のように生きている姿をイメージして動き始めます。そんな彼らを間近で見て、「人や組織の思考様式そのものを変えない限り、日本からは本当の変革は生まれにくい」と痛感したのです。


そこで僕が提唱しているのが、「トランスフォーメーション思考」というアプローチ。単なる技術導入や業務改善ではなく、「10年以上先の世界観を描き、そこに自分たちが熱狂する」というマインドセットの転換こそが変革の鍵だ、と強く訴えたいと思い、本書を執筆しました。


“MTP”がもたらす未来への没入感


本書でくり返し登場するキーワードは、「MTP(Massive Transformative Purpose)」。これは「最低でも10年先、あるいはもっと先の未来において、大きな社会課題を根本から解決してしまう」ような巨大な目標やビジョンのことを指します。イーロン・マスクやGAFAの事例を見れば、その破壊力は明らかです。


ただし“MTPを掲げる”と言っても、単なるスローガンでは何も変わりません。映像レベルで未来を鮮明に描き、「そこに自分が本当に生きている」と感じられるまで作りこむことがポイントです。未来を「どうしても実現したい!」と感じた瞬間、人間の脳は現状の方を“古い常識”として見なすようになる。そのとき行動は一気に変わり始めます。これがトランスフォーメーション思考の核であり、僕が本書で最も強調している部分です。


変革を阻む「改善思考」から抜け出す


日本企業のDXがうまくいかない理由として、本書では「改善思考の限界」を紹介しています。日本の組織はどうしてもPDCAやリスク管理、目の前の問題解決を重んじがちですよね。でも、それでは“抜本的に未来を変える”ような挑戦は生まれにくい。


本書で紹介しているのは、「未来に没入した状態から逆算し、短期スプリントで一気に動く」というやり方です。たとえばOODA(観察→方向づけ→決断→行動)を回しながら、MTPを掲げたXMO(トランスフォーメーション・マネジメント・オフィス)を機動的に動かす。そうすることで、大企業でもスタートアップのようなスピードと熱量を生み出せる、というのが本書の狙いです。


人間の“内部モデル”を書き換える


もう一つ、この本がユニークな点は「認知科学的なアプローチ」による組織実装のメソッド化です。実は人間は、ほとんど無意識の思考(ファスト思考)に支配されています。どんなに意志があっても、“脳が信じている現実”から抜け出すのは意外と大変です。だからこそ「MTPを映像化して脳に焼き付ける」「未来事マインドマップで多角的に未来を描く」**といったワークを強く推奨しています。


僕自身、AIの学習モデルの仕組みを人間の脳に投影して考えるのが好きなんですね。「技術の指数関数的進化に、人の思考も追随できるようになるにはどうすればいいのか?」という問いを突き詰めた先に、こうした認知科学×組織論の融合がある、と確信しています。


組織を変えるチェンジマネジメント


もちろん企業変革を実現するには、経営者やリーダーがMTPを“本気”で語り、それをチェンジマネジメントで浸透させる必要があります。「大企業って硬いから無理だよね」とあきらめる前に、文化の見える化ファーストペンギンの成功事例づくりなどの方法を本書では詳しく紹介しています。少し仕掛け方を変えるだけで、意外と周囲はポジティブに巻き込まれるものです。


個人のキャリアにもMTPを


個人の人生にもトランスフォーメーション思考が生きる


AIがルーティン業務を代替していく時代、10年後・20年後にあなたは何を成し遂げたいですか? 「世界をこう変えてみたい」「こんな未来を築きたい」という大胆なヴィジョンは、決して大企業の経営者やスタートアップの創業者だけのものじゃないんです。


テクノロジーのおかげで、ひとりの個人が世界を揺るがすような挑戦をするハードルは確実に下がっています。大きな夢をあえて言葉にしてみる。映像レベルで想像してみる。仲間とディスカッションしてみる。 そのプロセスを何度も繰り返すうちに、脳の“現実感”は未来の方向にシフトしていく。そこにワクワクする情熱が加われば、あなた自身のトランスフォーメーションが起こるはずです。


まとめ


『トランスフォーメーション思考』のポイントは「未来に臨場感をもち、今を根本から変える」という発想で、これを一人でも多くの人に体感してほしい、というのが僕の思いです。


AIの進化は確かに驚異的ですが、それ以上に「人の意識が飛躍的に変わる瞬間」を僕は信じています。その可能性をみんなが共有できたら、10年後の世界は驚くほど面白くなるはず。

もし「変革を起こしたい」「もっと大きな挑戦をしたい」という方がいたら、ぜひ本書を手に取ってください。一緒に10年先、あるいはそれ以上の未来を描いて、どんどん実現していきましょう。僕も引き続き、AIやロボティクスの技術革新を追いかけながら、社会変革の現場で走り続けます。


未来は“こうなったらいいな”ではなく、“こうなるに決まっている”から始まる。そのためのガイドブックとして、『トランスフォーメーション思考』が皆さんの一助になれば幸いです。

 
 
 

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